図面管理の基礎知識 | Building-Box

―　はじめに

―　図面管理とは

―　図面管理の目的

• 効率的な業務遂行：図面の整理や保存が適切に行われることで、必要な図面にすばやくアクセスでき、設計や建築現場での作業時間を大幅に短縮することが可能です。
• 設計ミスの防止：適切な図面管理は正確な図面のバージョン管理（履歴管理）も含まれ、古いバージョンの図面を使用してしまうなどの設計ミスを防ぎ、品質を確保することができます。
• 情報共有の促進：図面は、部門間やクライアント、パートナー企業など各所で共有されるドキュメントであるため、適切な図面管理は各部門間、企業間での正確でスムーズな情報共有に繋がります。
• 法規制の遵守：建設業では建築士法により一定の図書を15年間保存する義務があり、製造業においても製造物責任（PL）法への対応で10年間におよぶ図面データの保存が妥当となっている背景から、各種法対応の側面からも図面管理は重要な役割を担います。

―　図面管理における課題

• 業務スペースの圧迫：紙ベースの図面管理は、保管に物理的なスペースが必要になり、保管コストがかかります。
• 図面の破損や劣化：紙の図面は劣化や破損のリスクが高く、災害時には全てを失う可能性もあります。また、長期間保管しても劣化しない保存環境の維持が必要となります。
• 図面の重複作成：適切に図面が管理されていない状況では、同じ図面を何枚も作成してしまうといった事象も発生し、作業にかかる時間とリソースの浪費につながります。
• 最新図面の把握困難：図面のバージョン管理が不十分だと、最新の設計内容を把握できず、業務の正確性を欠くことになります。
• 検索機能の不十分：図面の検索機能が不十分だと目的の図面を見つけられず、探索に多くの時間を要してしまい、業務の効率性を欠くことになります。
• 部門間の情報共有不足：図面管理不足で生じる業務上での手間取りは、各部門間での情報共有不足に繋がり、業務の効率性と設計図面のクオリティを欠くことになります。
• 外注先への誤送：ずさんな図面管理では、外注先に誤った図面を送付してしまう可能性もあり、施工や製造に支障をきたすことになります。

―　主な図面管理方法

• 紙の図面をファイリングして保管：紙の図面を整理してファイリングする一般的な管理方法です。紙の図面は保管スペースが必要であり、劣化のリスクもありますが、従来から広く利用されている方法です。
• CAD図面を社内サーバなどの共有フォルダに保管：CAD（Computer-Aided Design）で作成された図面をデジタルデータとして保管する方法です。社内サーバやクラウドストレージを活用することで、複数の関係者が同時にアクセスできる利点があります。
• 紙の図面をスキャンしてデータ化し、共有フォルダに保管：紙の図面をスキャナでデジタルデータ化し、共有フォルダに保管する方法です。この方法により、紙の図面も電子データとして管理できます。
• 図面管理システムの活用：図面や関連する技術資料などをPCで一元管理するシステムです。紙で保管している図面も、CAD図面等にデータ化して管理、運用できます。このシステムにより、図面の検索、閲覧、更新が容易になります。また、紙の保管スペースを節約し、図面の劣化から保護する上で非常に有益です。

―　図面管理を効率化するポイント

• 図面ファイルの命名ルールを統一：特定の図面を迅速に特定し、必要な情報をすばやく見つけ出すうえで、適切な命名ルールを設定することが重要です。
• 図面の属性ごとに共有フォルダを作成、整理：図面情報の整理とアクセスの容易化を図るうえで、図面をプロジェクトや種類別に整理し、それぞれの属性に応じたフォルダに保存することが重要です。
• 図面の共有は社内と社外とで異なる方法を選択：社内では安全性と効率性を考慮し、ファイルサーバーを利用することで、部門間での共有をスムーズに行います。一方、社外との共有にはセキュリティを重視したクラウドストレージを活用することで、データの安全性を確保しつつ、安全で効果的な情報交換を実現します。

―　まとめ